凍りついた香り [本の感想、紹介]

「博士の愛した数式」を書いた小川洋子さんの一冊
「凍りついた香り」

ある日突然自ら命を絶った調香師の恋人、弘之。
幸せな時間をすごした直後に死んだ彼を理解できない主人公涼子は、
恋人が死に行き着いた過程をたどっていく。

遺書や日記などはなかった。
ただ、詩のような言葉だけがフロッピーに残っていた。

「岩の間からしたたり落ちる水滴。洞窟の湿った空気」
「締め切った書庫。埃を含んだ光」
「凍ったばかりの明け方の湖」
「穏やかな曲線を描く遺髪」
「古びて色の抜けた、けれどまだ十分に柔らかいビロード 」


香りはいつだって過去の中だけにあるもの・・・という一節が印象的・・・。

アロマテラピーの本に、脳が、香りを認識するところは、物事を記憶するところ
と一緒と言ってたっけ・・。


ばら.JPG

この香りの表現の言葉と彼が自分のために作ってくれた香水「記憶の泉」
を通して彼の過去をたどっていく・・

美しい数式
スケート
調香室
モーツァルトの遺髪。
そして、記憶を司る孔雀の心臓・・・。

現実と幻想、狂気・・あきらめ・・。

才能があるから幸せになれるわけじゃない。
また幸せになるには、才能なんてものは邪魔なのかもしれない・・・。






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