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チェーザレ・ボルジア [本の感想、紹介]

イタリア・・・「ルネッサンス期」というと
「メディチ家」「ボルジア家」が有名ですが
このボルジア家というのは、華やかな悪評に彩られていて・・・おもしろいんですよ・・・。

ヴィクトル・ユーゴーが戯曲を書き
それをオペラ作曲家であるドニゼッティが、歌劇「ルクレツィア・ボルジア」として作曲し
・・・また、宝塚でも「チェーザレ・ボルジア」として上演された・・とか!

みんなをとりこにする魅力は
まずは31歳にして志半ばで病死した、行動派の美男子のチェーザレボルジア?
悪女なのか聖女なのか・・・その行動が謎めいている美女、ルクレツィア?

ボルジア家自体にもいろんなスキャンダルがあって魅力的なのかも。

① ボルジア家の毒薬
カンタレッラとよばれる白い粉。
この毒は、味も匂いも感じさせない・・・。
製造方も、解毒剤も、作り方を知っているのはボルジア家の身内だけ。
殺したい相手の殺したい時期まで薬の量で自由に決められる、というのだから、完全犯罪思いのまま・・・。

② ルクレツィアと男達の近親相姦

③ 乱交パーティー

私の場合、イタリア史でというより、澁澤龍彦氏のエッセイでボルジア家を知り
塩野七生さんにたどりついて、この本を読んだというブラック!(笑)な経緯がありますが・・・[たらーっ(汗)]

塩野さんは女性だけど、変に感傷的にならずにさっぱり書いていて・・・、これは、いい本でした。

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「チェーザレ・ボルジア  あるいは優雅なる冷酷」
塩野 七生  著  
新潮文庫

マキァヴェッリに「君主論」にて理想の君主と称えられる一方、
淫らで残虐なボルジア、近親相姦と毒殺の一家、といった醜聞にさらされ続けたチェーザレ・ボルジア。

日本でいえば、織田信長みたいな感じの、けた外れな人物であったことは、間違いないです。
世界史の教科書がこんなだったら、もっとたくさんの高校生が歴史好きになるんだろうにな~。



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凍りついた香り [本の感想、紹介]

「博士の愛した数式」を書いた小川洋子さんの一冊
「凍りついた香り」

ある日突然自ら命を絶った調香師の恋人、弘之。
幸せな時間をすごした直後に死んだ彼を理解できない主人公涼子は、
恋人が死に行き着いた過程をたどっていく。

遺書や日記などはなかった。
ただ、詩のような言葉だけがフロッピーに残っていた。

「岩の間からしたたり落ちる水滴。洞窟の湿った空気」
「締め切った書庫。埃を含んだ光」
「凍ったばかりの明け方の湖」
「穏やかな曲線を描く遺髪」
「古びて色の抜けた、けれどまだ十分に柔らかいビロード 」


香りはいつだって過去の中だけにあるもの・・・という一節が印象的・・・。

アロマテラピーの本に、脳が、香りを認識するところは、物事を記憶するところ
と一緒と言ってたっけ・・。


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この香りの表現の言葉と彼が自分のために作ってくれた香水「記憶の泉」
を通して彼の過去をたどっていく・・

美しい数式
スケート
調香室
モーツァルトの遺髪。
そして、記憶を司る孔雀の心臓・・・。

現実と幻想、狂気・・あきらめ・・。

才能があるから幸せになれるわけじゃない。
また幸せになるには、才能なんてものは邪魔なのかもしれない・・・。






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野ばら  [本の感想、紹介]

美しいものが大好き・・・

コスメやファッションの外側の美しさはもちろんのこと、
日舞や声楽までも習って内側からの美しさも追求している「林 真理子」さん
この人の美しいものに張り巡らされているアンテナと費やすエネルギーってすごいです。

今日は、その林真理子さんの「野ばら」

野ばら.JPG


宝塚の娘役のちかと、お嬢様学校の同級生でファッション雑誌記者の萌が中心の物語です。

この設定、かなり華やかな世界です。
しかも、二人共美人で金持ちという設定の為、出てくるものが、ホテルからワインから
お菓子にいたるまで・・ブランドのオンパレード[あせあせ(飛び散る汗)]

内容としてはセレブな二人の恋愛と青春の終わりを淡々と描いた物語となっています。

 物語の中では、千花を通して、宝塚歌劇団の団員の生活が描かれています。
楽屋の雰囲気やファンが団員の人たちにどんなことをしてあげているのか、
など、かなり詳しく書き込まれています。

宝塚のことを知りたい人にとってはまさに興味深々な小説かもしれないですね。
千花のモデルとなったタカラジェンヌさんもいるって話ですし・・[揺れるハート]

物語では、萌は父親ほど年齢の離れた、妻帯者の映画評論家に執着し、
千花は歌舞伎界のプリンスとの恋に、梨園の妻への憧れをつのらせます。
  
小説というフィクションの世界の話とはいえ、華やかな別世界がくりひろげられてるし、
主人公の二人もまだ若く、深刻さがないので、梅雨のじめじめさがぱ~っと吹き飛ぶかもしれません[晴れ]



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星の王子さま [本の感想、紹介]

小さい頃、童話で読んだことがあるけれど・・・なかなか読めなかった「星の王子さま」。

旅行の時、「星の王子さまミュージアム」があったので、せっかくだからと入ったのが、きっかけで
大人になって改めて読んだのでした。

ミュージアムは、サン=テクジュベリの書いた王子さまの挿絵のスケッチがあったり
書斎が再現されていたり、ショップには新しい訳の本が並んでいました。
(今まで内藤訳の本のみだったので)
館内のクイズに答えるクロスワードをやって、ワッペンも、もらいました[ぴかぴか(新しい)]

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改めて、大人になって読む「星の王子さま」は奥が深い・・・。
これって大人のための童話で、大人になったから理解できる童話なんだと、
買ってきた解説本を読みつつ、訳本を読んだのでした・・。

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 訳 小島俊明 「新訳 星の王子さま」
          「星の王子さまのプレゼント」

この人の訳は、本当によく考えて訳されているなと思いました。
 
例えば・・・・

新訳の小島訳では
「きみの薔薇の花がそんなにも大切なものになったのは、
きみがその薔薇の花のために時間をかけたからなんだよ」
となっていることろ・・・・。

今までの内藤訳では
「そのバラの花のためにひまつぶしをしたからだよ」と訳されていたんです。

私にとって今まで壁を感じていたものがなくなり
ようやく、自分の気持ちに納得のいく訳し方にひと目ぼれして、
この新訳の「星の王子さま」を手にしたのでした。





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